2021/02/24 20:16

今回は人民公社時代の皇御茗と、水仙についてご紹介しようと思います。

〜人民公社時代〜
前回のブログで1980年代に入り初めて皇御茗ブランドを立ち上げたことをお話しましたが、それ以前は人民公社での統一農業経営でしたので、どの農家のお茶も一斉に集められて等級付けされていたという歴史があります。当時の皇御茗生産のお茶も含めて、農家ごとのお茶がブレンドされておりましたので、この時代に関してはメーカーごとの作りの特徴という概念は薄かったと思われます。
(当時は大紅袍、水仙、肉桂の3種類の生産がメインだったようですね。)

1985年に人民公社体制が完全消滅した後にようやく皇御茗独自ブランドのリリースが始まります。

この当時の皇御茗のラインナップは水仙、肉桂、大紅袍しかなく、大紅袍に関しても特に奇丹や北斗などの明確な品種の区分けがなかったと聞いています。しかしながら、今ほど明確でなくとも自社ブランドの岩茶の中でのグレードの区分けはしていたそうです。
(当時の皇御茗ファーストリリースの岩茶があったら飲んでみたいですね。約35年熟成の岩茶ということになりますでしょうか(笑)、まるで歴史を頂くようですね(汗))

〜水仙のこと〜
話がかわって、皇御茗のファーストリリース当初からラインナップに存在する古参品種水仙についてお話しようと思います。
日本では大紅袍や肉桂の影に隠れてなかなか隅に追いやられがちですが、皇御茗の水仙に関しては本当に面白いです!
皇御茗は慧苑坑周辺に畑を多く所有しているのですが、慧苑坑と言っても東から西まで結構広く、その中には様々な環境が入り乱れています。ゆえに同じ品種でも区画ごとの個性が発現します。

例えば
三仰峰の環境は凹の山のような場所で比較的多くの日光が当たる場所にあるためか、華やかな香気を纏うタイプの水仙となります。


逆に、日光照射が少なく陰りのある環境の鷹嘴岩小区画は、三仰峰ほど香りに華やかさがないかわりに味わいの繊細さがあります。


皇御茗の三仰峰水仙は比較的華やかですのでとっつきやすいですが、水仙慣れしている人などはむしろ鷹嘴岩水仙の繊細な味わいの虜となるかもしれません。

そして樹齢によって区分けされるという点においても水仙特有かと思われます。多々説がありますが樹齢50年を超えているならば老叢と呼ばれることが多いように思います。

もし樹齢50年超えの茶樹を老叢と呼ぶならば、基本的に皇御茗の水仙は老叢と言えます。ほぼ全ての水仙ラインナップが老叢と言えるので敢えて商品名に「老叢」と記載していないことが多いです。

Bグレード慧苑坑水仙も樹齢が80年以上で、味わいにも華やかさと上品さ、持久力があるのでこの水仙を飲んで水仙茶の概念が変わったと仰って下さるお客様も多くいらっしゃいます。




樹齢が最低125年を保証する古井水仙などは皇御茗のラインナップの中でも樹齢というファクターにおいて最高峰に君臨しています。是非一度お試し頂けましたら幸いです。



そして、これら原材料水仙の持ち味を活かすのは腕の良い職人となります。彼らの腕1つで品質が決まってくるのです。
(現場の人間いわく、茶葉摘采日の天気が晴れの日の場合は、雨の日よりも葉の水分を蒸発させやすいことから製茶がしやすくなるとのことです。)

そしてここからは皇御茗独自の要因なのですが、皇御茗は武夷山に畑を多く所有しているが故に様々な環境の茶葉を実験的に製茶することができます。慧苑坑の西から東まで、更にその付近のいたる所の原材料で実験的に製茶した時に、非常に個性的な香味を醸し出し商品化したものが観窠水仙になります。皇御茗のラインナップにおいて華やかさならばダントツで観窠水仙に歩があります。



実は、皇御茗所有の土地の中でも開拓していない未知の環境がまだまだ沢山眠っていたりします。
もしかしたら今後素晴らしい環境を発見し新たな小区画として1つの産地名が与えられるかもしれません。そして近い未来に日本のお客様にも新しい産地の岩茶をご紹介できる日が来るかもしれません。

今回も長文となりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。